-<bespokenews Vol.94_95 記事より抜粋>-

日本人最初のテーラー

今年、神戸開港150年を迎え、神戸市が中心となって、さまざまな記念イベントが行われているが、そのなかで、日本人最初のテーラーとして柴田音吉洋服店(神戸市中央区元町)が脚光を浴びている。
初代 柴田音吉
初代柴田音吉が英国人カペルに近代洋服の仕立て技術を師事し、当時の記録を紐解けば、明治2年(1869年)兵庫県知事に就任した伊藤博文の洋服を仕立てたことは、事実として伝承されている。その後、明治天皇の洋服を手掛け、着実に実力を身に付け、明治16年(1883年)元町3丁目に神戸で最初の合名会社を設立。その華麗なる伝統と歴史は現在、5代目柴田音吉(67)へと継承され、近代洋服=神戸洋服を代表するテーラーとして、職人による手作りを貫いている。

英国近代洋服の本流をハンドメイドで貫く

合冬向き「ライト-フィット」ジャケット
5代目 柴田音吉

若手で起業家精神を持つ人材の受け入れを視野に

テーラーを中心とするオーダー業界は、メイドインジャパンの洋服の証として、ここ数年、多くの消費者から支持されている。同時に、クオリティと付加価値を追求するテーラーへの注目度も高まるなど、ビジネスチャンスにもつながっている。しかし、課題もある。技術者の養成、若手、後継者育成問題である。ようやく業界では重い腰を上げて、技術の継承に乗り出している。テーラー有力店をはじめ、縫製、裁断を指導する教室、学校でのテーラーの仕立て技術を学びたいとする次世代が顕著で、都市部中心に積極的な取り組みが見られる。
柴田音吉洋服店では、「神戸には近代洋服発祥の地という土壌があるだけに、消費者から注目度も高い。それだけに、後継者という難しい課題を看過できない。若い人たちが業界に関心があるということは、とてもうれしいこと。これからの業界を考え、若手で起業家精神を持つ人材の受け入れを視野に入れながら、神戸洋服の伝承、テーラー業界の発展に取り組んでいきたい。」と語っている。

日英協会150周年「ヒューマンブリッジ」に、日本人最初のテーラーとして紹介された

大英博物館所蔵の写真
大英博物館所蔵の写真1

大英博物館所蔵の写真2

<引用元: bespokenews Vol.94_95>